top of page
D2.png

「――ねぇ、〝天使の亡霊〟って見たことある?」

 

2010年7月。

夏の暑さが滲み始めた一学期最後の日、吉岡栞は奇妙な噂を聴く。

それは、廻廊学舎の中庭《銀の庭》に建つ

鳴らないはずの時計台の響きをきっかけに、女生徒が死ぬ――というものだった。

 

終業式の日、栞の耳に届く鐘の音。

そして、時計台から消えた少女の影――。

 

あの奇妙な噂は本当になってしまったのか。

不気味なほどに青い夏の空の下、栞に声が囁く。

 

「探しましょう、あなたが見たものが何だったのか。

そこにどんな意味があったのか」

天使の鳴らす弔鐘、UMAの噂、天使の亡霊。

次々に増えていく新たな謎と、明らかになっていく過去の事件。

そして、知らず知らずその渦に巻き込まれていく少女たち。

 

「天使様が飛んだんです、何も不思議なことなんてありません

 

少女たちはその悲劇の深奥で、どんな色を見るのだろうか――。

bottom of page